私がミュージック・ペンクラブ・ジャパンの理事になったと言うと、よく「ずっと若い頃から書いてきたのですか?」と聞かれます。
この年代になって、そういうポジションにいれば、当然、人はそのように思うのでしょう。
ですから、「いいえ、私が音楽ライターとして本格的に書き始めたのは、2年前からです」と言うと驚かれることが多いです。
「当然、若い頃から書き続けてきてるのだと思っていました」と言われることが多いです。
たった2年しか本格的に音楽レビューを書いていないような人間が座れるポジションではないからでしょう。
その為、レコード会社の方と打ち合わせをしても、当然、こちらがベテランのライターであると思われていて、「どんな視点からインタビューしますか?」と聞かれたり、「レビューに書く」と言うと、非常に丁寧に担当者から扱われたりします。
自分では自覚しないまでも、相対的に、この年代では、ベテランの書き手、それなりの実績を持つライター、としての印象を持つのかもしれません。
その評価と実際の自分とのギャップを埋めるべく努力は自分がこれからしていかなければならないことだと思っています。
ファンブログを辞めてから、私がなぜ、たった2年でここまでのポジションを取れるようになったのか、と言われれば、それはただ「本心の満足することだけをしてきた」ということに尽きると思います。
私は「書くこと」が好きなのです。
それも「自分の思ったこと」「感じたこと」をそのまま書くのが好きです。
歌のレビューを書くときは、自分の感覚のままに感じた事を言葉にしていきます。
そこには誰にも何にも遠慮も忖度もありません。
自由に文章で表現する。
自分の本心の満足するように表現する、ということを心がけています。
そうしていると、日頃の行いや物事の選択も、自分の本心に従いたくなります。
そう、自分の本心が満足する方を選ぶのです。
そうやって自分の本心が満足する、ということを優先していると、自分の考え、自分軸をハッキリさせようとすることになります。
私はこの2年、そうやって自分のやりたいことを選んできました。
私は元々非常に自己肯定感の低い人で、ファンブログを書いていた時も、なぜ、多くの人が自分のブログを読みにきてくれるのか、文章が好きと言ってくれるのか、全く分からず、実感がありませんでした。
それは今でも心のどこかにあって、時折顔を出しては私を非常にナーバスにすることがあります。
私には最終的になりたいものがあり、それを叶えるためには、社会的ポジションが絶対に必要でした。
しかし、どのようにすれば社会的ポジションを取れるかも全く想像すら出来ず、ただ目の前に現れてきたこと、与えられたことと自分が書きたいと思っていることを書き続けてきただけです。
この2年間に投稿した記事は1000以上になりました。
私の記事は歌手の歌を聴き、その歌手の情報やインタビュー記事など、歌手が持つ背景を読み込み、その情報を入れた上で歌の分析をします。
それは単に「歌」だけの分析をしてもその人の背景を知らなければ、その人の音楽性を理解することに繋がらないからです。
「歌」にはその人の人間性が必ず映し出されます。
そこを理解した上でないと的確な分析は出来ないと考えるからです。
記事は1つ書くのに、2時間ほどの時間がかかることが多いです。
そうやってこの2年間、1日に2つから3つぐらいの記事をあげて来ました。
よく「大変ね」「よく書けるわね」と言われますが、
私にとって「書く」ことは、「本心が満足する」ことなのです。
だから何の苦もなく、書き続けてきました。
人は「本心の満足する事しかできない」と私は思います。
それがこの2年間で私が実感したことでした。