私のママ友にその頃、占い師になるための勉強をしている人がいました。(今は彼女は立派に占い師。協会の理事までやっています)

「ね、心斎橋に前世占いで有名なところがあるんだけど、ちょっと行ってみたいから一緒に行かない?」

ある日、私は彼女にそう誘われました。

 

占いは独身の頃は好きで、堺によく当たると評判の四柱推命の占い師のところに行って、歌のことなどよくみて貰っていました。

でも結婚後はすっかり占いからも遠のいていました。

それに前世占いというのに興味がありました。

「前世占いってなあに?」

 

「人間は何度も生まれ変わってきているから、自分が過去世でどんな人間だったかとか、家族との関係とか見てくれるらしい。凄く当たるって評判よ」

そう言われて、私はちょっと面白そうだと思いました。

私は元々運命論者のところがあって人間は生まれ変わってくると思っています。

それで彼女と一緒にその占いに行くことに決めました。

自分の過去も知りたかったですし、ついでに自分がどんな仕事に向いているか聞いてみようと思ったのです。

 

それまで、私は占いをして貰う時、いつも自分が音楽の仕事をしているということを言って、自分が向いているかどうか聞いていました。でも今回は、何も言わないで、これから仕事するのに何が向いているか尋ねてみようと思ったのです。

 

彼女と一緒に行った心斎橋のカフェは今でも検索をすると出てくるぐらい有名ですが、その頃も鑑定して貰いたいお客さんで満杯の状態でした。

 

カフェですからもちろんお茶を頼んで、鑑定の順番が来るのを待っていました。

大概の占いの場合、生年月日や名前を聞かれます。

でもそこでは聞かれたのは名前だけ。

名前を書いた紙を渡して、女主人がテーブルに来るのを待つのです。

白髪の素敵な女主人が占い師でした。

自分の過去世3つを教えてくれるのです。

 

そこで私が言われたものは、

「雑貨屋の女主人」「仏師」「文筆家の卵」でした。

私は過去にこういうものを経験して現世に生まれてきたというのです。

 

「何か質問ありますか』と聞かれて、

「自分がこれから仕事するのに何が向いているか教えて欲しい」と聞きました。

 

すると彼女はこう言ったのです。

 

「過去にね、経験している仕事がいいのよ」